双姫 Ⅱ


「俺が、お前の弟…?」


ガラガラと屋敷が崩れ落ちる音が遠くに感じる。


「そうだ、俺も最近知ったばかりだがな?」


この展開に頭がついていけない。

俺は母さんと二人暮らしだったんだ。
兄弟なんて居る筈が…。

でも、余りにも似過ぎている。


「早く逃げろ…ここも崩れる。」


床で気絶している男を抱え、俺と反対に歩き出す。


「俺が弟だから助けたのか!?」


「…そうだ、その女と幸せになれ。
お前は俺みたいになるなよ。」


振り向かず歩き続ける
男の表情は俺には分からない。


「あ…に……き…兄貴!!」


産まれて初めての言葉を口にした。


類sideEND


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