あいつの恋
――ピンポーン
あ、来た。
「はーい、ちょっと待っててねー」
下でお母さんが叫んでる。
「はーい!」
外から聞こえる能天気な声は…
「彩夏ー!雄馬くん来たでー!早よ下りて来ぃ」
そう、雄馬や。
こいつは幼稚園からの幼なじみ。
家も近いし、親同士も
仲が良いから毎朝、一緒に
学校に行ってる。
――ドタドタドタドタッ
私は勢いよく階段を下りた。
鏡をチェック。
別に、雄馬に何の恋愛感情も
ないが女として一応
鏡はチェックする。
「行ってきまーす」
「行ってらっしゃい、気をつけてね」
いつもの会話だ。
ドアを開けると、
雄馬が気持ち悪い顔をして
そこに立っていた。
これもいつもの光景。
毎日同じ事の繰り返しは
疲れる一方…
恋の一つくらいしたいものだ…