奇聞録(冬)二巡目
冬の澄んだ空気の中に浮かび上がる花火。
イルミネーション。
「綺麗だね。」
「うん。君と見れて幸せだよ。」
美しい言葉と、優しい気持ちが、
ロマンチックに空気を包む。
ベッドで語られる熱い愛の言葉。
求め会う本能と肉体の融合。
この日だけは、キザな言葉も、本心じゃない愛の囁きも、
肯定され、許容される。
足下にしがみ着いている、あの人の事も、
なかった事にする。
肩にもたれ掛かった、あいつの頭だって、
見なかった事にする。
良いじゃないか。
クリスマスだもの。


