溺れるマーメード

今年入った新人の女の子の香り。

まさか
まさかあの新人が?

私は起き上がり彼を見つめる。

「あの子とも寝た?」

「あ?えーっと……」

「正直に言ってよ。いつ?」

「朝……彼女が掃除に来て……少しだけだぞ。なんか仕事がつらそうで疲れていて……」

「私だって疲れてるわよ」

「終わった話だ」

「今朝って何よ!誰とでも寝る男なの?外国から来たのがそんなに偉い?新人までタラシこんで」

「落ち着けって」

落ち着けって……何よ。
私がどんなにこの昼を
この時間を楽しみにしていたかわからないの?

あなたに抱かれるのがこんなに楽しみで
大好きなのに。

「俺はお前が好きだよ」

彼はゆっくりそう告げる。

「いつまでも抱いていたいのはお前だけだ。ずっと一緒にいたい」

「私だって……ずっと一緒にいたいわよ」

一日中
あなたに抱かれる事ができるなら
どんなに幸せだろう。

「机の下にあるから……いいぞ」
深いため息をついて彼はそう言った。

「いいの?」

「俺はお前が好きだから」

私は立ち上がり
社長の机の下にあるモノを手にする。
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