wish
「だから“そのうち”っていつなんだって聞いてるんだよ!」
「すみません、必ず、必ず返しますから!」
そんなやりとりがしばらく続いたが、男がとうとう諦めた。
「また来るからな」
捨て台詞を吐いて、帰っていくようだった。
ふと、このままでは鉢合わせてしまうことに気付き、慌てて死角へと移動する。
その間の動きは自分でも驚くほどに速かったと思う。
男が扉を閉めて帰っていったのをちゃんと確認してから、
昇は父がいる部屋に滑り込んだ。
「父さんっ!!」
父だけがいると思っていた部屋には母もいた。
力なくこちらを見た父の顔は一気に青くなった。
母は微動だにせず座り込んだままだ。
その目は少し赤くなっていた。
「昇、いつから…」
いつからいたのか聞きたいのだろう。
「ただいま、って、声かけたんだけど…」
言葉を濁すと、父は「そうか…」と顔をまた下に向けた。
「すみません、必ず、必ず返しますから!」
そんなやりとりがしばらく続いたが、男がとうとう諦めた。
「また来るからな」
捨て台詞を吐いて、帰っていくようだった。
ふと、このままでは鉢合わせてしまうことに気付き、慌てて死角へと移動する。
その間の動きは自分でも驚くほどに速かったと思う。
男が扉を閉めて帰っていったのをちゃんと確認してから、
昇は父がいる部屋に滑り込んだ。
「父さんっ!!」
父だけがいると思っていた部屋には母もいた。
力なくこちらを見た父の顔は一気に青くなった。
母は微動だにせず座り込んだままだ。
その目は少し赤くなっていた。
「昇、いつから…」
いつからいたのか聞きたいのだろう。
「ただいま、って、声かけたんだけど…」
言葉を濁すと、父は「そうか…」と顔をまた下に向けた。