wish

慣れない言葉

話し終えた昇の横顔を、ただただ何も言えずに友香は見つめる。

昇もそれから何も言わないので、2人の間にはまた沈黙が生まれた。


どうしよう。

なんて言ったらいいのかな…?


浮かんでくる言葉はどれも使い古したようなありきたりな言葉ばかりで、
結局何も言えないままだ。

目をぎゅっと閉じて、働かない頭をフル回転させる。

少しだけ、勇気を出して、浮かんだ言葉を音に出した。


「昇は…お父さんのこと、恨んでるの…?」


昇がぴくりと反応したので、まずかったかも、と友香は身構える。

だが、昇の表情は怒っているというよりも驚いた、というような表情で。


「恨んでは…ない。
…やっぱり、目標だったし、ああなりたかったから」


けど、と昇は続ける。


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