wish

揺れる心



教室に響くピアノの音と、人が奏でる旋律。

それが重なり合い音楽が作られる。

友香は楽譜を手に、配られたばかりの歌を練習していた。

「はい、じゃあ今日はここまで。だいぶみんなの声がそろってきたね」

そう言ったのは合唱部の部長だ。

「あと、来月ある文化祭で発表する曲だけど、
ソロの部分、宮内にやってもらおうと思う」

部長の思いがけない言葉に友香はぽかんと口を開ける。

「…ぇ、わ、私ですか!?」

「そ。最近よく頑張ってるし、やってみておいて悪いことはないと思うよ?」

「は、はい!がんばります!!」

ようやく自分にまわってきたチャンス。

絶対に成功させようと、つい楽譜を握る手の力が強まった。




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