wish
指導室を出てすぐに目に入ったのが友香の姿だった。
なぜか屋上に行くことになってしまい昇は困惑した。
屋上に着くなり口を開いたのは友香だ。
「ごめん、強引に連れてきて。でもゆっくり話したくて…」
友香は言うと、それきり黙りこくってしまった。
かける言葉が見つからず、昇も友香同様黙り込む。
すると突然友香がいつもの昇降口のほうに移動した。
「…久しぶりだね、話すの。昇も来る?」
「いや、いいよ」
確かに友香と話すのは久しぶりだ。
「さっきなんか怒ってたみたいだけど、私何かした?」
顔は見えないが、不安げな友香の声に、昇は安堵の色を浮かべる。
やっぱり友香じゃない。
「…さっき、規則をやぶったからって罰掃除させられることになった」
「え?なんで?」
「バイト、許可とってなかったから。知ってるよな?俺がバイトしてたの」
昇が知っているとは思ってなかった友香は慌てて弁解する。
「ぐ、偶然見ただけで!
教えてくれなかったから知らないほうがいいのかなって思って…」
「俺がバイトしてたの知ってるの、
多分おまえだけだから、おまえが河合に言ったのかと思ってさっき…」