wish
昇は、ずっとこちらを見ている友香の顔を見れないまま、
話し続けた。
父親の自殺。
それは、昇の心の奥深くにずっとあり、
ひっかかってきたもの。
誰にも言えず、ずっと1人で抱えてきた。
きっと、誰かに言ってしまったら、
自分が自分じゃなくなってしまう気がしたから。
でも、友香に打ち明けた今、想像していたような嫌悪感はなかった。
むしろ、何か軽くなった気がする。
しかし、真実を打ち明けてから、友香は何も言わない。
心配になり、友香のほうに顔を向けた。
「…宮内?」
「ご、めんね…」
友香は、涙を流していた。
「なんで、宮内が泣くんだよ…」
「…うん」
友香の頬を伝う涙のつぶが、陽の光に照らされて、
きらきらと光った。
それを見て、昇も何かこみあげてくるものを感じた。
「昇?」
「今…ちょっとこっち見ないで…」
友香の瞳に、昇の涙が映った。