夢が醒めなくて
翌日からも希和を送って行った。
「お兄さん、帰りはいいですよ?」
わざわざそう念押しした希和に、俺は敢えての笑顔で返事した。
「そのつもりや。気をつけて帰りや。」
もちろん嘘だ。
希和を見送った後、俺は車を目立たない位置に移動させて持参した双眼鏡を構えた。
1時間目は体育。
さすがに体操服の女子中学生を覗くのは多少の気が引けたが、希和を探してロックオン。
今のところ、女子にハブられてる様子はなかった。
でも特別仲良しの子もいないようだ。
……いや。
さっきから目ざわりなほど男がちらつく。
希和、マジでもててるのか。
あ。
朝秀くんもやってきた。
悪い虫を追い払う使命感もあるようだが、普通に希和のそばにいたいようにも見えた。
うーん……あきらめの悪い男め。
でも、希和はクールだった。
ちやほやされても笑顔を見せず、するりするりと人を避けて立ちまわってるように見えた。
……よし!
ちょっとホッとしたのも束の間。
やはり希和の目がたまに止まるのが気になった。
視線の先にいたのは……あいつか。
パッとしない普通の男に見える。
線の細い、まだ二次性徴発展途上の少年。
何で、見てるんだ?
恋か?
恋なのか?
悶々と双眼鏡を覗いてるうちに1時間めが終わったようだ。
希和の姿が校舎に吸い込まれるのを確認してから、俺は天を仰いでため息をついた。
……何やってんだろう、俺。
これじゃストーカーだ。
希和の視線を奪う男なんて、これから先、数えきれないほどいるぞ。
付き合うと決まったわけでも、希和ががあいつに惚れたと確定したわけでもないのに。
このままじゃ、ダメだ。
大学の図書館でゼミの調べ物をした後、生協でバッタリとあおいちゃんと出くわした。
てっきり嫌な顔をされるかと思ったら、意外と普通に会釈された。
「あー。あおいちゃん。小門、もう来てる?」
ゼミは昼からだからまだかな?と思いながらも聞いてみた。
「たぶんギリギリになると思う。光と一緒にいるから。……光、お兄さんのこと、気に入ったみたい。また遊びに来てください、って。」
あおいちゃんの言葉に俺は驚いた。
「マジで?いいの?」
あおいちゃんは至極真面目にうなずいた。
「あの子、顔は天使だけど他人に懐かないし、心を開かない子なん。申し訳ないけど、由未ちゃんに対しても無関心。でもお兄さんには自分から話しかけて懐いとーから。」
「……嘘やろ。めっちゃ人懐っこい愛想のいい子やと思ったわ。」
「お兄さん、帰りはいいですよ?」
わざわざそう念押しした希和に、俺は敢えての笑顔で返事した。
「そのつもりや。気をつけて帰りや。」
もちろん嘘だ。
希和を見送った後、俺は車を目立たない位置に移動させて持参した双眼鏡を構えた。
1時間目は体育。
さすがに体操服の女子中学生を覗くのは多少の気が引けたが、希和を探してロックオン。
今のところ、女子にハブられてる様子はなかった。
でも特別仲良しの子もいないようだ。
……いや。
さっきから目ざわりなほど男がちらつく。
希和、マジでもててるのか。
あ。
朝秀くんもやってきた。
悪い虫を追い払う使命感もあるようだが、普通に希和のそばにいたいようにも見えた。
うーん……あきらめの悪い男め。
でも、希和はクールだった。
ちやほやされても笑顔を見せず、するりするりと人を避けて立ちまわってるように見えた。
……よし!
ちょっとホッとしたのも束の間。
やはり希和の目がたまに止まるのが気になった。
視線の先にいたのは……あいつか。
パッとしない普通の男に見える。
線の細い、まだ二次性徴発展途上の少年。
何で、見てるんだ?
恋か?
恋なのか?
悶々と双眼鏡を覗いてるうちに1時間めが終わったようだ。
希和の姿が校舎に吸い込まれるのを確認してから、俺は天を仰いでため息をついた。
……何やってんだろう、俺。
これじゃストーカーだ。
希和の視線を奪う男なんて、これから先、数えきれないほどいるぞ。
付き合うと決まったわけでも、希和ががあいつに惚れたと確定したわけでもないのに。
このままじゃ、ダメだ。
大学の図書館でゼミの調べ物をした後、生協でバッタリとあおいちゃんと出くわした。
てっきり嫌な顔をされるかと思ったら、意外と普通に会釈された。
「あー。あおいちゃん。小門、もう来てる?」
ゼミは昼からだからまだかな?と思いながらも聞いてみた。
「たぶんギリギリになると思う。光と一緒にいるから。……光、お兄さんのこと、気に入ったみたい。また遊びに来てください、って。」
あおいちゃんの言葉に俺は驚いた。
「マジで?いいの?」
あおいちゃんは至極真面目にうなずいた。
「あの子、顔は天使だけど他人に懐かないし、心を開かない子なん。申し訳ないけど、由未ちゃんに対しても無関心。でもお兄さんには自分から話しかけて懐いとーから。」
「……嘘やろ。めっちゃ人懐っこい愛想のいい子やと思ったわ。」