朱色の悪魔

「兄さんに散々調べてもらってるから間違いねぇよ。朱色の悪魔は、朱音の血液中のみに潜んでるって。だから…」

「っやあ!?」

弟くんの手が初めて下の方に触れる。

「血にさえ触れなければ、朱音を好きなようにできるんだよ」

弟くんは、本気だ。

そして、その事を弟くんに教えた次男さん。更には今、弟くんを止めに来ない父親も長男さんも、弟くんがこうすることを容認してる。

だから、私が本気で嫌がらなければ、弟くんは躊躇いなく私を抱くんだろう。

それを証拠に弟くんは、私の返答を待つようにじっとしてる。

私は、どうするのが正しいんだろう。

でも、確実なのはこのまま続けることは弟くんにとって、ノーリスクではないということ。

何かの拍子に弟くんが血に触れてしまうことはあり得るのだから。だから、絶対安全ではないということ。

それは、弟くんだけではなく、長男さんたちも分かっててこれを容認してること。

断るべきだ。

弟くんにこんなバカな賭けをさせるなんて間違ってる。

分かってる。分かってる、のに…。

「朱音」

そっと近づいてきた弟くんを、はねのけるべきだ。

なのに…。

「ん…」

どうして、私は受け入れてるんだろう…。
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