朱色の悪魔

「んあ…」

一度、離れた弟くんは…ううん。魁は、やっと、いつもの顔で笑う。

「いいんだな」

この言葉に疑問符がついてなかったのは、もう否定しないと分かってるから…。

もう、返事なんて不必要、だった。

「っんん…」

「朱音、力抜け」

んな無茶な…。魁の手はさっきよりずっと貪欲に私を支配し始める。そんな手はやっぱり、今まで抱かれた奴と同じなような気がする。

でも、なんでだろ…。こんなこと、何回もしたことあるのに。

なんで、こんなにあったかいんだろ?

「朱音」

「んー」

「気抜けるような返事すんな?」

「…にゃー」

「…言った瞬間?」

おふざけは許されたみたい。

でも、仕返しのようにそこからの攻めは正直、我慢とかそんなのできる状態じゃなかった。

「朱音、噛むな」

「っあ…」

「傷つけたらキスしてやれねぇだろうが」

無意識にすること禁止されても…。

とっくの昔に服なんか視界に入ってなくて、魁にすべてをさらけ出した状態だった。

今さら恥じらいなど、と思ってたのは甘かったらしく、魁にじっと見つめられる度に焼けるほどに恥ずかしかった。

「ッあ…かいっ…かいっ!」

「ん?どうした、朱音。らしくないな」

「…壊してよ」

「…ばーか。めちゃくちゃにするっつたろ」

余裕面する魁は、言葉通りにめちゃくちゃにした。正直、記憶も定かではない。

ただ、微かに覚えているのは、私が魁を求め続けたこと。それだけ、だった。
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