朱色の悪魔

追いかけたのはいいが、すぐ差し掛かった十字路ですでに行き先がわからない。

それでも突き進んだのはまぐれを信じてだった。

でも、進めどあの車も、華月組の車やバイクさえない。

さんざん探し回って、見つけられるはずもなくバイクを止めた。

「…くそ」

どこだよ…。

ヘルメットのせいで頭をかきむしることは出来なくて、携帯を出す。

大量の着信履歴があった。

ちょうどかかってきた電話に出る。

「はい」

『魁、戻れ。見失った』

神哉兄貴からの連絡はそれだけだった。

電話を切って、しばらくその場から動けなかった。

なんでだよ。車くらい見失うんじゃねぇよ…。

どうして…。

どうしようない思いをバイクのメーターのとこを殴り付けて抑え、本家にバイクを向かわせた。
< 185 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop