朱色の悪魔

朱音探しに本格的に動き出した華月組。

組長の部屋からそれを呆然と見つめていると、頭を叩かれる。いつの間にか親父が隣にいた。

「あれだけの啖呵を切ったんだ。お前は行かねぇとかぬかさないな」

「…当たり前だ」

親父に背を押され、廊下に出る。

動き回ってる平出を呼び止め、俺付きの数人を全員引き連れて動きだす。

俺は神哉兄貴みたいに、組織の上に立って、指示を飛ばすことなんかできないけど。

俺は留榎兄さんみたいに、無数の頼りない情報を集めて整理することも、朱音を元に戻してやることなんかできないけど。

俺は由羅兄貴みたいに、影で動き華月を支援することなんかできないけど。

だけど、俺はそんな兄貴たちを信じて突き進むことができる。

朱音に迷わず手をさしのべることができる。

だから、俺が朱音を迎えに行く。それだけだ。

留榎兄さんから情報が届く。兄貴たちの情報を元に走り出す。

待ってろよ、朱音。今すぐ助けてやるからな…!
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