朱色の悪魔

「…」

「嬉しいよ。僕を探してくれていたんだろう?でも、少し困ってたみたいだからね。迎えに行って正解だったよ」

こいつに伝わってたのか…。道理で情報を買えなかったはずだ。

睨み付けても嘲笑うように見られるだけ。

くっそ…こんな奴ら…。

でも、手も足も、枷で繋がれているのか身動き1つとれない。

「さてと、朱も戻ってきたことだし…早速始めようか」

ッ!?何を…。

近づいてくる奴らに過去のあいつらと重なる。

恐怖が身を捕らえ、動けなくなる。

動け…動けよ。こいつらに、復讐するんだろ…。

寝てる場合じゃ、ないのに…。

「朱、怖がらなくてもいいんだよ?」

「…」

身に染み付いた恐怖も、生まれ持った諦めも、今はそんなもの必要ないのに。

どうして、動いてくれないの…。

遠くなる意識は抗えない。

抵抗を忘れた実験体はただ、そこにあるだけ。

暗くなっていく視界と共に意識が途絶えた。
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