朱色の悪魔

…ここは、牢屋?

いつまで眠っていたんだろう。いつの間にか昔と同じ白いワンピースのようなものを着せられていた。

「…はぁ」

ダメだな。あの場所は過去に囚われる。囚われて、動けなくなる。

まさか、こんなところで幼少期に染み付いてたものを確認するだなんて思ってなかった…。

でも、ここでは動けるってことは、あの台に乗せられなければ大丈夫ってことか…。

首には枷。足にもか…。手は自由でも、これじゃあ、動けない…。

─カシャン

「ッ!?」

誰かいる!?この牢には私だけ。できるだけ鉄格子に近づくと、同じような牢がいくつか並んでいるのが辛うじて見える。

人の影は正面に並んだ方しか見えないけど、隣に並んだ方も人がいるみたいだ。

「まま、おそとにでたいよぅ…」

「誰か水を…」

「………」

かすかに聞こえてくる声は老若男女、様々な声がする。幼い子どもの声すらする。

拐われてきたのか…。でも、クロさんの話ではあの研究室で生き残っていた被検体の回収が行われたはず。

あの組が潰されたのは12年前。最年少でも12歳のはず。なら、どうして小さな子どもが…。
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