朱色の悪魔

***

無機質な電子音が鳴り響く。

ぼんやりと目を覚ました世界は、きれいに色づいている。

「…」

視線だけを動かして、無機質な音を出す時計を見る。

AM6:00。起きなくちゃ…。

「おーい。朱音ー起きろー?」

襖の向こうから聞こえてくる声。

布団から出て、2回じゃばら折りに畳んで部屋の隅に追いやる。

壁にかかったセーラー服に手を伸ばしかけて、その隣にかかるブレザーに手を伸ばす。

新品のそれに腕を通して、いつも裏を向いてる姿見をくるりと回転させて自分を写す。

灰色ベースのチェック柄のスカート。
白のカッターに、紺色のブレザー。リボンはない。

つまらなさそうな顔をしてる。

寝癖のついたままの髪はあちこちに跳ねているのに、顔にかかった髪だけは、左目を決して鏡には写さない。

髪に隠れた左目を覆うように手で触れる。

―熱い。

手を下ろし、机の傍に置いてあるスクールバックに手を伸ばす。

外からの声が近い。
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