朱色の悪魔

「それは…。こんなところでなければお祝い事なのに」

「ですね…」

でも、私が子供を産んであげることはできないと思う。

生まれたとしても、幸せにしてあげることはできない…。

なら、いっそ共に…。

「キミは何を考えているんだい」

「…まだ、言えません。だけど、大人しくあいつらのいいなりになるつもりも、このまま実験体になるつもりない」

「…キミは、すごいね」

ご老人がそう言うのも仕方ないと思う。

ここにいるときが長いほど抵抗を忘れる。私もあの台に乗せられると抵抗を忘れたように眠りについてしまう。

外に出たから抵抗を覚えた。外に触れたから復讐を決めた。

そうでなければ、私も抵抗することなんか考えられなかった。

「ただ、バカなだけ…ッ!?」

っ…。

胸を抑えることもままならない。

痛みの間隔が狭い。無理矢理やり過ごしても、体がダルいままだ。

いつまで、意識が保てるんだろう。分からないけど、どのみちやっぱり産んであげられないかなぁ…。

「お嬢さん?」

「…っはぁ、はぁ」

「大丈夫なのかい?」

意識が薄れていく。本当に、いつまでなんだろう…。

ご老人の返事にも答えられないまま、目を閉じた。
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