朱色の悪魔

「終わらせる」

あいつらの陰謀を、野望を、壊す。

ドアの前で立ち止まる。

『朱音、先走るなよ。一緒に帰るんだ』

魁の言葉が甦る。

分かってる。だけど、ごめんね。

私はもう、“朱音”じゃあないんだ。

遠くから聞こえてきた爆発音。鳴り響く警報。微かに聞こえる焦った声。


さぁ、復讐へのカウントダウンは音を立てて動き出した。

これは、私の復讐だ。誰にも邪魔させない。


ドアノブに手を置く。簡単に開くそれを開け、混乱と煙に包まれる廊下へ踏み出した。
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