朱色の悪魔

「ッお前たちはバカだ!!こんな、こんなあっさりと、世界を手にいれられるほどの力を持った者を殺してしまえるお前らは、大バカ野郎だ!!!」

「っは、そんなの興味ねぇよ。俺らは、華月は秩序を無視するてめぇらみてぇな奴等を止めるためにいるんだからよ」

裏社会の秩序を守る。

それが、華月組の存在意義。

トリガーに指をかける。

「だから、秩序を乱すてめぇは不要だ」

トリガーを引く。耳を突き抜ける発砲音。舞う血は研究者のもので。

頭を撃ち抜いた研究者は床に倒れ、それきり動かない。

腕を下げられなかった。

呆然と倒れた研究者と、銃口から上がる硝煙を見つめる。

俺が、やった。俺が、殺した。

たとえそれが、悪だとしても、人を殺めたことを忘れない。

それが、自分を人でいさせるために必要なことだから。

「…か、い」

「…朱音?」

振り返った先にいるのは、酷く悲しむような顔で俺を見つめる朱音の姿だった。

歩み寄ると、弱々しい手が俺を包む。

「ご、めん…ね」

「…これは、俺のわがままだから」

だから、俺こそごめんな。

力の入らない朱音の手は簡単に離れていきそうで、それを阻止するように抱き締めた。

魁side END
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