朱色の悪魔
「魁、朱音、おかえり」
「…とりあえず血止めようぜ」
ちょっとグロッキーなお父さんの顔に思わず長男さんの影にススッと隠れておいた。
だって怖い。見た目グロッキーなのに笑顔。怖い。
厳つい男の人たちが苦笑混じりでタオルを持ってきた。いつものこと。最初は青白い顔してたけど今は慣れっこ。
お父さんは傷をタオルで押さえながら、頭撫でてきた。
「朱音、今日はきついことなかったか?」
「ん」
「午後の授業全部寝てただろ。嘘つくな」
弟くんのツッコミにブリザードが駆け抜けた。嫌な予感。
「朱音、薬の効きが悪くなってからじゃ遅いっていつも教えてるよなー?」
「うぅ」
あ、頭が割れる…!
長男さんに鷲掴みされた頭が悲鳴をあげてる。
き、気絶する…。
「神哉、朱音が倒れる」
「朱音!?」
し、死ぬかと思った。弟くん腕にもたれ掛かってるけど、重たくないのかな?
弟くんの腕はびくともしない。