朱色の悪魔
「魁、引き上げるぞ」
「分かった」
長男さんと視線が交わる。長男さんは特大のため息をこぼして、苦笑混じりに睨まれる。
後でお説教らしい。うん、厳しい。
次男さんは…見なかったことにしよう。
魁に抱っこされる。視界に入ったのは研究者。
終わったんだよね。全部…。案外、あっけなかったな…。
「朱音、こっち見ろ」
「ん」
「お前は俺だけ見てればいいの」
魁に頬を摘ままれて視線を合わせられる。魁って、絶対独占欲の塊だ。
それを証拠に、甘えたら機嫌が直った。
長男さんたちが待ってる。魁がそちらに向かって歩き出す。
…バイバイ。まぁ、すぐ追いかけるからさ。
研究者をじっと見つめた。焼き付けるように…。