朱色の悪魔

すぐにドアを閉めれば、長男さんが不吉な顔をしてる。

「朱音、渡せ」

出される手。今度は素直にお兄さんの携帯と飲まされかけた薬を渡す。

長男さんがため息をついた。

「朱音、もうここに入ってくんなよ。上でおとなしくしてろ」

「ん」

「さっきみたいに饒舌になれよ。お前の声、きれいなんだからよ」

長男さんの声を後ろに受けながら歩いていく。少し離れた場所に立ってた運転手さんの案内で地上に戻る。

「朱音様、おかえりなさい」

「風呂入ってきた方がいいですよ。血生臭い」

見張り番のお兄さんの言う通り、くっさい。ふむ。お風呂に行かねば。

運転手さんにも見張り番のお兄さんにもバイバイして、屋敷に戻る。

その後お風呂に入って、ご飯食べて、部屋に戻る。

…。外、出ようかな。情報も集めたい。

そうと決まれば!タンスの奥に隠してある真っ黒な服と靴。それに急いで着替えて、フードを深く被る。

よし。縁側から外に出て、塀を乗り越える。

そのままバス停まで急いだ。
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