奪うなら心を全部受け止めて
・ショウには衝撃Ⅱ
お決まりの校長の挨拶。
入学式って長いのか短いのか…。会長の挨拶も…あったな。
まだ挨拶続くんだった。
新入生か…。いかにもっていう眼鏡君だな。
おー…、校歌斉唱。
ショウも俺もアイドル並の口パクだな。
知らない訳じゃないが、俺らが敢えて声出して歌わなくても、充分声量足りてるし。
やっと終わったな。退場だ。
あの子が見えた。
う〜ん…。似てるか?あいつらが言うみたいには思わないけどな。
ショウが言うみたいに雰囲気かなぁ…。
まあ、言われてる俺には解らん。
…え?
目が合った。今度は間違いなく。
何だろ…。
あっ、て顔してたような。何だかドキドキする。
何だろう…?ざわつく感じ…。
「あー、終わった終わった。おい、千」
「ん、何だ…」
「俺のリサーチ力、使ってみっか」
「ん?何にだ?」
「千に妹が居るかどうか」
「ん?…はぁあ?何言ってんだいきなり。有り得ないし」
「いや、お前が知らないだけでさ、過去にどこかでこう、複雑にだな、絡み合った、おじさんか、おばさんの、禁断の恋があったのかも知んないよ?」
「アホか…、呆れる…。そんなドラマとか小説みたいな事、まずある訳ないから。似てるっていっても偶然だ」
「ああ、解ってるよ。そんな事はまずない。
冗談だ。怒るなよ?そうじゃなくて、何組の誰ちゃんか調べるだけだよ」
「…本当、そういう事には、生き生きしてるよな、お前。かと言って、そんな女子を好きになったって事も実はないよな?」
「…俺は今日解ったんだ」
「何がだ?」
「俺は千景の事が好きだって」
「は?…。俺はなんて言えばいいんだ?」
「ガハハッ。悪い。変に取ったか?違う、そうじゃなくて、ガキだなって事、俺がさ。騒ぐけど、彼女とか、今はいいかなって。男同士で馬鹿言い合ってるのがスッゲー楽しいから」
「ああ、そうだな」
「好きだよ〜、千景ちゅわん。ずっと一緒に居てね〜」
「…止めろ。だから…、違うんだろ?」
「アハハッ。おもしれー。って、おい…」
「ん?どうした?」
「あれ見ろ。高木先輩じゃないか?」
「どこ?」
「あそこ」
言われた方を見た。
「あー、確かに」
「おい」
「何だよ…、忙しないな」
「あの子、居る…」
「ぁあ?誰?……本当だ…」