それが伝え方なのです
ポタ、と髪から雫が滴る。
「えっ、あっ、その!いきなりきてごめんなさいっ!!」
きっちり90度の直角を保ち慌てて頭を下げる。
うわああぁっ、わたしなんていうタイミングで来てんだろっ?!!ある意味グッド?いやいやバッドタイミングでしょうが!!わたし阿保か?痴女か?!
いたたまれなくて恥ずかしくて真っ赤な顔で俯きうろうろと視線を彷徨わせる。なのに視界には静くんが入ってしまうのだからますます恥ずかしい。
きゅ、とカバンを持つ手に力を入れるとふわりと頭の上に何か置かれた。おずおずと目線を上げれば静くんがいて柔らかく笑ってくれる。
「いいよ、久しぶりにやよに会えて嬉しいから。来てくれてありがとう」
お風呂上がりのせいかいつもよりも体温の高い手のひらで頭を撫でてくれて、嬉しくて、でもなんだか怖くて、それでもやっぱり幸せで。
じわりと潤んだ瞳を見られないように少し俯きながら頷いた。
「リビングにいて?着替えてくるから」
そっと離れた体温にハッとして顔を上げると静くんはこちらに背を向けていて、ドクリと心臓が嫌な音を立てた。
あのままわたしのところから離れて行ってしまいそうな恐怖と、あのときの女の人に静くんを奪われたしまいそうな恐怖を煽って思わずその背中に抱きついていた。