Mr.ハードボイルド
「そういえば、祐希さん、以前お話ししたように実は明日がエリザベートと散歩するの最後なんです。明日が契約期間の最終日なんですよ」
俺は努めて軽い口調で言った。
「そうなんですか、とても残念です。エリザベートちゃんとも、それに、富井さんともお友達になれたのに」
祐希ちゃんは、下を向いたまま小さく呟いた。
ふっ、オチタな。
「祐希さん、大丈夫です。明後日からも僕は、この時間、この場所に来ますよ。武蔵くんとアナタに会いに。もちろん、飼い主に許可がもらえれば、エリザベートも一緒にね」
俺は右目を閉じて彼女に微笑みかけた。
「富井さん………」
完璧だ!
決定的だ!
キマッタな、これ。
まったくよ、ニーナ、オマエにホント感謝するぜ!
こんないい仕事を見つけてくれたんだからな!