未知の世界へ。
始まりはひょんなことから
冒険に行こう、唐突にそう思った。


冒険は絶対ダメだと親に言われたが、無視する。


生きて帰って、後悔させてやる。


本当に生きて帰れたら町中の人気者だ。


この町、バゼレーンからは多くの人が旅に出た。

しかし、誰も生きて帰ることはなかった。


だから、俺が帰ってきたら人気者だろ?


本当にそうなるといいな。



深夜2時。


寝静まった夜更けに起きて準備をする。


予め準備してあった剣、簡易テント、カンパン、ランプ、マッチ、縄…。


冒険に行くのに必要そうなものは持ち、置き手紙に「冒険に行ってきます」とだけ書いて家を出る。


暗い中で頼りになるのは月明かりのみ。


満月だなぁ…。


「綺麗…。」


そういった俺の声は誰の耳にも届くことなく消えていった。
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