すきだから
「千歳はさぁ、陽菜といた方が楽しそうだよね」

そんな事を考えていたら、ついつい言葉がぽろっと出てしまった。

2人は私の言葉に会話を止めて、私に顔を向けた。

「・・・は?何言ってんの?」

その言葉にいち早く反応したのは千歳だ。
さっきまでの明るいトーンが、少し低くなっている。

「香苗、それはないわ。私に好きな人いるの知ってんでしょ?」

「香苗ちゃん、言っていい事と悪い事があるんだけど?俺が好きなのは香苗ちゃんだよ?」

・・・そんな二人で私を責めなくても・・・。

二人の威圧が凄くて思わず小さな声でゴメン、と言って縮こまった。

「じゃ、戻るわ。香苗ちゃん昼休みに話がある。迎えに来るから、逃げるなよ?」

「じゃね、千歳。香苗が申し訳ないね」

「いいんだ。気にしないで陽菜ちゃん。悪いのは香苗ちゃんだから」


半分脅しのような、そんな低い声で千歳は言うと教室から出ていった。


昼休みに話って・・・。

あまりいい予感がしない。
千歳の後ろ姿も、なんとなく怒っているように見えるし。

・・・最悪だ・・・。

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