すきだから
「ごめんごめん、ちょっと遅くなった」

そう言いながら千歳は私に駆け寄ってくる。
シックなジャケットを羽織って、少しタイトな濃い目のジーンズがまたやけに似合う。
制服以外の千歳の姿を見て、ドキリとしてしまった。

「大丈夫、さっき着いたところだったから」

「ごめんね、寒いのに待たせてしまって。さ、早く行こう」

「どこで勉強するの?近くに勉強できるところあるの?」

「俺ん家。この駅の近くのマンションなんだ」

・・・千歳の家!?

「はっ!?」

「あ、ゴメン、言ってなかったね。大丈夫だって。誰もいないから」

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