すきだから
でも、香苗の事は嫌いではなかった。

いずれまた香苗の所に落ち着くんだろうし、香苗もお互いさまだろう?ってそう思って過ごしてたんだ。


だけど、いつまでたっても香苗から来ることはなくて、少し焦りが出てきた。


俺達、まだ付き合ってんだよな?
まだ俺の事好きだよな?


なんて心の中でずっと問いかけていた。


あの時屋上で、「別れよっか?」なんて軽く聞いたのは、お前が「なんで?別れたくない!」って言って欲しかったからなのに。

香苗はすんなりと俺の言葉を呑んでしまった。

なんだ俺だけかよって自暴自棄になって、俺の事を好きだって言ってくれた女と付き合ってはみたものの、やっぱりしっくりこなくて、結局その女とはすぐ別れた。

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