片道のRe:
過去の私/中学二年
4月。
2年に進級した私は、薄桜の門をくぐる笑顔を遠巻きに眺める。

窓から見える景色は、去年と寸分も変わらない。
友達も、私の想いも変わらない。

ただ1つ大きく変わったことは、新しく赴任してきた男の先生が、テニス部の顧問になったことだ。
その人は絵に描いたような熱血で、去年までのお飾り顧問に慣れきっていた私たちには、相当苦しい練習の日々が始まった。


週2だった朝練は毎日になった。

週4だった放課後の部活ももちろん毎日に。

土日は必ず他校と練習試合をした。

先輩後輩は一切関係ない、完全なる実力社会を強制的に築かされた。


私とペアの子の2人は、2年で唯一選抜メンバーに選ばれた。
3年の先輩の中には、もちろん選抜に選ばれていない人もいる。

最初は本当に居心地が悪かったけれど、日が経つに連れ、これが本来のあるべき部活動の姿なのだと思うようになり、私自身もそれまで以上に部活にのめり込むようになった。

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