片道のRe:
結局、オグには「分かった」とだけ伝えた。

先輩には致し方なく経緯を話し、渡したかったのは箱のラッピングのみだと伝えると、いつもの明るい顔文字を添えて『そうだったんだね』と返事をくれた。

それ以上深くは詮索されなかった。
先輩は優しい人だから、スルーしてくれたのだと思う。

けれどそれがまた余計に辛く、私はこの日、恥ずかしさと悲しさをぐちゃぐちゃに混ぜた涙を流した。


後日、リノから『須野先輩もチョコを渡していた』との話を聞いて、また涙した。

本当はもう、分かっていた。
けれど先輩から拒否されない限りは、想い続けることも自由だと、自分に都合良く考えることにした。


3月。
ホワイトデー。

先輩からオグ経由で、お返しにキャンディーの缶を貰った。

嬉しくて、苦しくて、また涙した。

私はそれに手を付けられないまま、机の上に飾った。


季節は間もなく、春を迎える。

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