片道のRe:
過去の私/中学一年
何かが始まる予感がしていた。

去年も同じことを思っていたような気もするけれど、今年はきっと、一味違う春。


『お姉さん』の象徴だった、烏羽色(からすばいろ)のセーラー服。
皆と同じ通学カバン、銀の校章、生徒手帳。

誇らしさを紺青のスカーフに揺らして、薄桜に染まった門をくぐった。


小学校までの私は、何かとクラスの中心にいた。

運動が得意なこともあり、学校行事では常に目立つポジションにいたし、強気で活発な性格だから、男女の隔たりなく友達は多かった。


しかし余りに女らしさに欠けた私は、よく男子に『おとこ女』とバカにされていた。

始めはうるさいなぁ、くらいにしか思っていなかったそれも、学年が上がるに連れ、胸がキリキリと痛むようになる。


私は中学に入ったら心機一転、『女』になるのだと張り切っていた。

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