キミへ
俺たちのいるドアまで来るなり、
その”なつき”という女は俺を見て
きょとんとした。



いや、きょとんとしたのはこっちも
同じなのか。



お互いどういう反応したらいいか
分からず沈黙が続く。



「なんか話せよ!?知り合いでしょ!?」



沈黙に耐えられなくなった女が言う。



いや、だって…なんつーか…。



「「…だれ?」」



声が重なった。



さっき会ったばかりのなつきという女は
俺を指さしてぽかーんとしている。



「はると、なつきに会いたいって
言ってたじゃん!!なつきだよ!?」



「いや、だって、人ちが…」



俺はそこで一つの仮説を思いついた。



同名ってこともあるかもしんないな。



そうだ、きっとそうだ。



「悪ぃ、俺の思ってたナツキとは
違うやつだったみてーだわ」



俺ははは、と笑って謝った。



でも俺の仮説はすぐに
間違いだと判明する。
< 22 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop