キミへ
本から目を離し、声の聞こえた前の方を
見ると、そこにはあいつが立っていた。



あの時と変わらないショートヘアに
ぱっちりとした目。



それから消えてしまいそうな笑顔。



間違いなく”ナツキ”だった。



「あたしのこと探した?…よね?」



俺は何も言えなかった。



聞きたいことは山ほどあるのに
どうして何も言えないのだろうか。



”ナツキ”は少しずつ俺の方に
一歩一歩と足を進めてくる。



「ウソツキは治った?」



俺の目の前で足をぴたっと止めて
トーンを落として言う。



ウソツキ…か。



治ってねぇよ…。



「そっか。相変わらずか」



は?俺今何も言ってねぇぞ?



こいつは人の心が本当に読めるのかよ。
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