我那覇くんの恋と青春物語~桜沢紗希編~
「紗希、言ってたよ・・・離れるのが辛いって」


「えっ」


「このまま離れたままなんて、我慢できないって。もう会えないなんて、嫌だって・・・」


さくらさんがそんな事を言っていたとは・・・


「同じ大学に行くんでしょ」


「はい・・・でも、こっちにはもう来れないって」


自分で口にして、改めて現実を突きつけられた気がした。

同時に、こちらもこのまま離れて会えなくなることなど・・・やはり、嫌だ。


「けど、お父さん・・・きっと、許してあげるんじゃないかな?勘違いしないでね、紗希がこっちの大学に来ることを許すってことだから。あなたのことは別問題」


「・・・」


「私も紗希は妹だから、何とかしてあげたいけど・・・こればかりは、私じゃどうにもならない」


自分が馬鹿だと思った。



そして、愚か者だと思った。



姫希さんに何を期待しているのだ。

何も関係ない姫希さんに、これ以上何をしてもらおうというのか。


「でもね、考えたって仕方ないよ・・・それとも、あなたたち・・・」
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