ロールキャベツは好きですか?

side:祥吾


「はい。コーヒー」

「ありがとうございます」

渡されたマグカップを見て、思わず眉をひそめた。

「……主任。からかってます?」

俺用に出されたマグカップは、のほほんと草を食むカピバラくん。
意図して出してきたとしか思えない。

「洋平が誕生日プレゼントでくれたやつよ。他にないからいいでしょ」

「……」

「それとも、元カレとのペアカップに入れたほうが良かった?」

「そんなのあるんですか?」

「ないです。冗談。本気で他にマグカップないからそれで我慢して」

主任が熱で倒れた日以来、久々に上がった部屋は相変わらずだった。

まぁ、あの日ちらりと目に入ってしまった水色の下着はさすがに片付けられているか。うん。

「部屋汚いでしょ?」

「……まぁ」

これで否定するのは、白々しい。

「本気で整理整頓できないのよ。私」
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