ロールキャベツは好きですか?

職場では公私混同しちゃダメだよね。
あとで、祥吾くんにも言っとこう。

祥吾くんには合鍵を渡してあるから、もう家に行ってるかなぁと前方を見ていると。

「そういやさ、お前届いた?」

「え?届いたって何が?」

唐突な質問についていけずに、忍の顔を振り仰ぐ。

「双山部長の、招待状」

「ああ」

先週届いたそれなら、新婦の同級生として招待されてる祥吾くんと見せ合った。

「先週届いたよ」

この結婚式には新婦の親友として招待されている祥吾くんの元カノ、玲奈さんも来るらしい。

この結婚式は、私にとっても祥吾くんにとっても、過去と向き合う大切な機会になる。

「スピーチは人事部の部長がするらしいよ。双山部長とプライベートでも仲がいいらしいから」

「そういや、あんたは結婚式挙げないの?今更思ったんだけど」

「挙げない。そんな式なんかにお金掛けたくないって言うんだよ。史華が。むしろ、新婚旅行を贅沢しよって」

「あ、なんかその気持ちわかる。旅行で美味しいものを食べるほうがいい」

私の言葉に忍が声を上げて笑う。

「さすが、食いしん坊の祈梨だな。職場の雰囲気と違うからショック受けてないか?田島は」

「整理整頓が苦手なことには呆れられてる」

最近部屋の掃除を一緒にしてくれるようになった。
だから私の部屋は今、だいぶ片付いている。

忍も私の部屋を知っているから、妙に納得したようで、頷いている。

「それにしても、草食系男子とは意外な選択だな。祈梨ってもっと肉食系男子が好きなんだと思ってた」

祥吾くんが隠れ肉食系である、ロールキャベツ系男子だと知らないこその発言だ。

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