ロールキャベツは好きですか?

「それに……そろそろ別れなくちゃいけない、と思っていたから……簡単に彼の別れ話を受け入れられたのかも」

自分なりに自分の冷静さの原因を突き止めると、田島くんは細い目を、珍しく大きく開いていた。

「カピバラくんもそこまで目が開くんだ」

「失礼ですよ、主任」

やんわりと私をたしなめることを忘れない田島くん。

「驚きました。別れなくちゃいけないって……何でまた」

私は曖昧に笑った。
そこを聞かれると私は自分の過去を……話さなくてはならない。

訊かないで、という笑みは通じなかった。
田島くんは好奇心剥き出しだ。

「周りが結婚しろってうるさくなるからね」

無難な当たりを答えておく。

「主任、結婚願望ないんですか?」

「今は無理よ。主任になりたてで、寿退社しようものなら、ほら見ろこれだから女子はって言われるのがオチね」

私のそれなりの理由に田島くんはあっさり頷いた。

「今時、寿退社を推し進める会社ですもんね。考えが古すぎる」

「それに今ここで私がやめたら、管理職を夢見ている後輩女子たちの道を閉ざすことになるわ」

「それもそうかもしれません」

男尊女卑。寿退社推薦。

いつの時代の話だよと、何度も突っ込みたくなったし、何度も悔しい思いをした。

同じ成績なのに、優先的に出世が許される忍に、何度八つ当たりしそうになったかわからない。

それでも、そんな理不尽な環境でも、夢があるから、何とか頑張ってこれたんだ。
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