ロールキャベツは好きですか?
「主任への興味が恋だと自覚したのは、主任のアパートに一緒に入っていく松谷課長を見たときです」
田島くんの家から駅へと向かう道の途中に、私の家はある。
駅前には、銀行やスーパー、病院などが並んでいるから、休日に彼が私の家の前を通るのは、普通だ。
ここで忍と出くわしたとしても、文句は言えない。
「めちゃくちゃ、激しく、課長に嫉妬しました。たけど、一方で、どこか納得した。課長は素敵な人だから、主任には充分相応しい相手だって」
忍がいたから、彼は身を引いてくれていたんだ。
だけど、今、こうして、想いを告げてくれているのは……。
「忍と、別れたからだよね」
「主任」
「忍と別れたから、田島くんは、想いを隠そうとしなくなったんだよね」
彼が振り返る。
眉が寄っていて、どこか不機嫌そうだ。
「そうですよ。課長だからって、隠してきたのに、まさか、課長が二股かけてるとは思いませんでした」
「うん。私も思わなかったよ」
つくづく思う。
私は男を見る目がない。
そのせいか、長続きしない。
忍と3年持ったのは奇跡だとは思うけれど、お互い多忙でろくに別れ話を考えるほど、向き合えなかったという証拠なのかもしれなかった。