ロールキャベツは好きですか?
ふいっと田島くんは身を翻して、トコトコと歩き始めた。
その背中を慌てて追いかける。
「……一目惚れでしたよ」
夜の道に田島くんの声が響く。
「入社して、研修期間に初めて、主任の姿を見たとき、その雰囲気に思わず息を呑んだんです」
まさか本当に言ってくれるとは、思わなかった。
けれど、せっかく彼が話してくれるのだから、と無言で先を促した。
「にこやかに笑って、だけど、体の奥には強い情熱を抱いている。そんな主任が気になって見つめていたら、最寄り駅が一緒だと気づきました」
「気づいていたなら、どうしてもっと早く言ってくれないのよ」
「すみません。言うタイミングずっと逃してきました」
田島くんは、秋物のコートのポケットに、そっと手を入れる。
さっきからずっと、こっちを見ないのは、照れているせいなのかもしれない。
それでも、歩くスピードは私と同じ。