セカンドパートナー

 生まれてきてくれてありがとう。

 そんなこと、親にはもちろん、過去の彼氏にも、優人にだって言われたことない。

 とても嬉しかった。

 私のことを悪く言う人ならたくさん出会ってきたけど、あんな風に言ってくれたのは並河君だけ。

 自分のことを好きになりたいと、ほんの少し、思い始めてる。

 それは、誰のためーー?

 ……一生、価値観の違う優人のそばにいなければならないのだろうか。

 
 過去と未来はつながっている。それなら、このどうにもならない感情の答えも、いつかは知ることができるのだろうか。


 まだ、実感がない。そのうち何事もなかったかのように、並河君から普通にメールが来そうな気がする。

 無意識のうちに意識をスマホに集中させるクセができた。彼からのメールはひとつも来なかった。

 本当に、鍋の日が最後なんだな……。


 並河君と別れた翌日から、しばらく寝込んだ。なんの前触れもなかったのに熱が出た。久しぶりの風邪。

 熱が下がるとすぐに仕事した。喉は少し痛いけど、ジッとしていると並河君のことばかり考えてしまうので、何かしていたい。

 自由なシフト。しかも一人で出来る仕事なので、マスクさえしていれば周りに迷惑をかけない。無心になるにはちょうどよかった。

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