明日へのヒカリ


肺に溜まってた空気を、全て吐き出す。


「嘘つくな。何年一緒にいると思ってる。お前の癖くらい、見たらわかる」


俺がそう言うと、茉莉は、ごめん、と、すごく申し訳無さそうに頭を垂れた。


「そうだよね。礼央相手に、嘘ついてもバレちゃうよね。‥‥こんなに私の事分かってる人なんて、幼なじみの‥‥礼央、くらいだもんね」


そう、俺と茉莉は、いつでも、どんなときでも隣りにいる。


茉莉が言ったように、俺の事を分かってくれている、分かってくれるやつは、きっと、いや、恐らく、茉莉、こいつだけだろう。


小中高と委員長などを務めてきた茉莉。

いろんな人間に、いつもテキパキと効率の良い指示を出している。


しかし、本当のこいつは、オドオドしていて、かなり内気な性格だ。


‥‥‥人間とは恐ろしい。


きっと、今の茉莉を皆が見たら、別人だと思うか、もしくはそもそもこいつ自体に気が付かないかもしれない。

って、茉莉の話はどうでもいい。


「で、なんでお前は、盗み聞きしてたんだ?」


俺がそう言うと、茉莉は答えた。


「‥‥‥心配‥‥だったから。」

「心配‥‥?」


俺が聞き返すと、コクリと頷く。


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