May I Kiss You? 【ぎじプリ】
 案の定、冷たい言葉が返ってきた。

「しつこい」
「すみません。でも、好きって気持ちを抑えられないんです」
「あのな。もうすぐ深江主任が帰ってくるんだよ。だから、俺はおまえの相手はできない」
「そう……ですよね」
「ほら、もう行けよ」

 彼に言われて、私は肩を落とし、給湯室を出てオフィスに戻った。

 ランチタイムが終わった総務課のオフィスでは、みんなパソコンに向かったり、コピーを取ったり、仕事を始めている。

 私も仕事しなきゃ。

 自分の椅子に座って気持ちを切り替えた。そうしてパソコンをスリープモードから起こしたとき、オフィスの入口に深江主任が現れた。そう、彼はあの人のものなのだ。

 私がじいっと主任を見たとき、隣の席の青山くんが主任に声をかけた。

「深江主任、お帰りなさい。出張、お疲れ様でした」

 主任は陶器のように美しい顔で、片方の口角をつっ……と上げた。めったに表情を崩さない主任が〝笑っている〟ことを示す証。
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