May I Kiss You? 【ぎじプリ】
「ただいま。これ、大阪土産」

 大阪出張から戻ってきた主任が、お土産の紙袋を差し出した。青山くんがすかさず受け取る。

「わー、たこ焼き団子だ」

 青山くんが紙袋を覗き込んで、驚きの声を上げた。

 私の右側の席の魚崎さんがそっと耳打ちしてくる。

「たこ焼き団子だって。主任のあのきれいな顔に、たこ焼き団子は似合わないよね~」
「ホント」

 私は話を合わせながらも、主任から目を逸らせずにいた。だって、主任は彼の所有者だから。彼がほしい。譲ってくださいって言ったら譲ってくれるだろうか。そんなわけないよね……。だって、彼は主任のお気に入りなのだ。どんなときだって彼をそばに置いている。

「塚本さん」

 私がじっと見てたからか、主任が私を見た。くっきりした二重の瞳で見られて、私は自分の考えを読まれたんじゃないかとヒヤリとする。

「塚本さん、悪いけど、コーヒー淹れてもらってもいいかな」
「あ、はい」

 うちの会社には、〝お茶汲みは若い女性の仕事〟とかいう考え方はないけれど、主任じきじきに頼まれたんだから引き受けなくちゃ。

 私は椅子から立ち上がった。
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