知らない貴方と、蜜月旅行
「ほら、選んでこい」
「いや、でも!」
「あ、お姉さん?数着、選んでやってね」
「あ、はい。かしこまりました」
「俺が好きそうな下着にしてね?」
「!?あ、えっと、頑張ってみます…」


なんちゅー注文だ!最低だ、最低すぎるっ。てか、なんでお姉さん顔赤らめてんの!騙されないでー!!


「ほら、さっさとしろよ」
「……」


あー、またさっきみたく着せ替え人形が始まるの?もう、嫌だよ…。早く解放されたいっ。選びたくないけど、選ばなきゃ解放はされない。


逃げ出したいけど、逃げたところで絶対捕まる…。じゃあ、やっぱりおとなしく選ぶしかないよね…。そして着せ替え人形になった私が、お会計の時にグッタリしてたのは、言うまでもない。


「よし、帰るか」
「……」


買ってもらった下着は5着。1着が大体5千円〜7千円。また数万円を私なんかの為に使った吏仁。この人は、なにをしている人なんだろうか…。


「紫月、疲れただろ」
「ん」
「どっか食べに行こうと思ったけど、今日はコンビニ弁当にすっか」
「ん」


車に乗った途端、疲れがどっと押し寄せ、返事もまともにできなくなっていた。コンビニ弁当も食べられるか、わからない…。


吏仁の家の近くのコンビニに寄ると、私は降りることさえ億劫で、適当にお願いすることにした。


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