知らない貴方と、蜜月旅行
*なんとなく、わかったこと
吏仁が車を降りてすぐ。私は、携帯を鞄から取り出した。だけど、やっぱり亮太からの連絡はなかった。


明日、どうしよう…。本当に結婚式挙げるの?でも、旅行用の鞄とか、吏仁全部揃えてたし、ご両親にも会って挨拶までしてしまったんだよね…。


それに今さら、キャンセルしますなんて言えないし…。というか、もし式場をキャンセルするとしたら、飛行機もキャンセルしなきゃいけなかったのか。


そうなるとキャンセル料が発生するわけで……ん?キャンセル料…?考えてるうちに、キャンセル料という言葉が引っかかった。


そして、携帯で〝結婚式キャンセル料〟と調べてみる。すると、ズラッと出てきたキャンセル料について。


「あー、そういうことか」


調べれば調べるほど、笑えてくる。ふふっ、と自分の声が漏れ、その声は次第に大きくなる。人が見てるとか関係ない。ただ私は、携帯を持ちながら笑い続けた。


そしてそれは、吏仁の登場と共に、さらに加速して笑い続けたのだ。当然吏仁は、眉を寄せ「なに、笑ってんだよ」と言いながら運転席に座った。


「わかったよ、吏仁」
「なにがだよ」
「結婚式、キャンセルしてなかった理由」
「理由?」
「そう。これ、見て」


そう言って私は携帯を、水戸○門の○さんが印籠を出すように真似をしながら、吏仁に携帯を突き出した。


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