知らない貴方と、蜜月旅行
「よし、食うか」


帰宅して早々、吏仁はテーブルの上に買ってきたコンビニの袋をドサッと置いた。そして、中身を取り出すと、おにぎりや、カツ丼、カレーライスに、カップ麺まで入っていた。


「ねぇ…こんなに食べるの?」
「いや?テキトーに買ってきただけだ。残ったら明日の朝食えばいいだろ?」
「ふ〜ん」


なるほどね、そういうことか。私は頷くと、おにぎりに手を伸ばした。


「いたっ!なんで、叩くのよ!」


おにぎりを食べようとしただけなのに、吏仁の手が伸びてきてベシッと叩かれた。なんでもいいって言ったから、おにぎり取ろうとしただけなのに!


「カレーかカツ丼、食えよ」
「やだよ!」
「うっせ。いいから、どっちか選べよ」
「………」


なによ、なんでもいいって言ったくせにさ!結局、好きなもの食べさせてくれないんじゃない。


「じゃあ、カレーにする」
「あっそ」
「………」


ねぇ、なに?後ろから、なにか硬いものでブン殴ってもいい?それくらい腹立つんだけど!


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