知らない貴方と、蜜月旅行
〈え、なに?なにかあったの?って、今旅行中なんだもんね。わかった、都合のいい日合わせて会おう〉


やっぱり、久未は優しい。なにかあったのか聞いても、会って話を聞くよと言ってくれるんだから。


〈ごめんね。文字じゃ説明しづらいんだ…。でも久未だけには聞いてもらいたいから〉


すぐさま、こう送ると〈わかったよ、待ってるね!〉と、久未からの返事が来て私たちの会話が終了した。


「ひゃあ…!」
「前の男との思い出でも見てたのか?」


携帯を手から離そうとした時だった。後ろからなんの気配もなく、吏仁が抱き付いてきたのだ。私が携帯を弄ってたから、少し気になってくれたのかな。


「違うよ…!はい、この子」
「……誰」
「久未って子。私の親友なの。って、服着てよ!」
「無理、あちぃんだよ」
「暑いって…。私、目のやり場に困る…!」


とりあえず、久未の写メを見せようと、画像から選び出し吏仁に見せると、吏仁の格好にビビった。上半身裸にバスタオルを首からかけ、下半身はボクサーパンツ一枚という姿。


それを指摘すると即答で〝無理〟と言われ、正直こっちも無理だ。どこに目をやっていいのか分からない。だけど、この男だけは普通で…。


「なに、目ぇ逸らしてんだよ」
「そ、そりゃ逸らすでしょ?!」
「とか言いながら、チラチラ見てんじゃねぇかよ」
「み、見てない!!」
「恥ずかしがんな、ほらもっと見ていいぞ」
「……バカっ!」


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