お日さまの笑顔に導かれ

「冬夜ー!」


放課後フェンスの外から冬夜を呼んで、奏太がどこにいるか聞いた。


「あいつ多分学校に居ねぇよ。家だと思う。」


「住所わかる?」


「お前んちの近くにアパートあんじゃん。あそこの2Fの部屋」


「え?そんな近かったんだ」


「ちなみに俺んちも近いけど」


「へー」


こんど探検してみよう。全然気づかなかった。小学校の頃から住んでたのに。


「‥ここか」


小綺麗なアパートの一室に佐々木のネームプレートを見つけた。


インターホンを押してみる。


誰も出てこないから扉を明けてみるとあいた。入っていいかな?って考える間もなくみつけたのは廊下で倒れてる奏太。


「奏太!!!」


近づくと息がすごく荒い。けど意識はあるから大丈夫みたい。


「おー陽菜。」


「何で‥」


「ただの風邪だよ。風呂から出たら廊下が冷たくてさ」


無理な(そしてバカな)冗談を言ってる奏太をひきずってベッドへ。


「風邪なら一言いってくれれば、来たのに‥」


「はは、そのうち治るし平気」


奏太は力なく笑った。本当に辛そうで見ているこっちが辛くなってきた。


「‥陽菜、大丈夫だから」


あたしが余程不安な顔をしてたのか、奏太がそお言った。


「ん‥お粥、作る」


あたしが立ち上がろうとしたら腕を掴まれてベッドにダイブした。


「わわわっ!」


「はは、色気ねーな。」笑


「ななっ!」


「ここにいて」


奏太の荒い声が耳元でした。それがなんだか安心してしまってあたしは素直に奏太の腕の中に収まった。
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